アステールでは講師がいなくなることはありません。講師が常に常勤し指導にあたっています。一般の美術予備校のように課題出題と講評だけを実技指導と考えてはいません。むしろ制作のプロセスに積極的に関わってゆきます。これは各講師にクラス、専攻の担当がなく、全ての講師が全ての研究生を指導するという極めて特殊な体制をとっているから可能なのです。また専攻を横断して課題、講評、指導を行えるのは、すべての講師陣が美術の基本となる原理や技法、教養を共有していることを必要とします。アステールの講師は、一つの専攻、一つの講義のみをこなすスペシャリストではなく、すべての専攻、ほとんどの講義を一人ひとりがこなすことができる万能タイプ、いわば美術ののジェネラリストです。
 大手の美術予備校の講師は担当する専攻別に別れ、クラスを1人で指導する関係で、講師のいない日や時間帯が生まれます。これをなくすために、複数の講師の交代制にすると、実技指導の一貫性が保てなくなります。アステールは全ての講師がアステール出身であり、学生時代から基礎的な実技理論を共有しています。講義も持ち回りで毎年担当担当する講義が少しずつ替わり、全ての基礎的理論を共同研究しています。「美術」のルーツは一つだという仮定からつくられている基礎ですから、様々な専攻に対して有効なわけです。したがって、指導する講師が入れ替わっても実技指導の一貫性はこの基礎理論によって貫かれており、各講師の独自の視点はこの一貫性の上に語られるので、研究生に大きな混乱をもたらすものではなく、かえって思考の幅を広げる材料になっています。
 カリキュラムも変化を前提としたものですが、さらに現実の研究生達が置かれた状況をフィードバックさせて実態に合ったようにアレンジさせてゆきます。伝統的にアステールでは講師と研究生は単なる予備校の先生と生徒という上下関係ではなく、同じ美術の道に生きる友人という関係が築かれてゆきます。一緒に飯を食い、一緒に遊びます。時には一緒に制作します。研究生各々が一体何を感じ、どのような個性を持ち、何を悩んでいるのかを知らなくては、この最後のアレンジはできません。