実技理論の講義は、それを聞いただけで絵がうまくなる呪文ではありません。主に入門基礎講義と総合基礎講義に行われる客観的事項に関する講義には、必ず基礎演習が付随してきます。講義を単なる知識として埋没させないためには、ピアノのレッスンと同様にその理論を肉体化する練習過程が必要です。手や眼が思うように動くようになり、初めて私たちは思い通りに表現できる力を得ることになります。この基礎演習の特色は短い距離の目標が設定されていることです。形を正確にとれるようになる練習方法、遠近法を身に付ける練習方法、明暗法を身に付ける練習方法、質感を描き分ける練習方法、色彩効果を使えるようになる練習方法、平塗がうまくなる練習方法という具合に講義と密着して設定されているのが演習です。
 また、こうした基礎力演習はえてして単調なものになりがちですが、各基礎実技項目に分けられていることによって、その内容は次々に変化します。基本的にアステールでは同じ課程を1週間以上繰り返しません。1週間単位で合否のつく「〜ができるようになる」というタイプの課題を行ってゆきます。1週間やってできるようにならなければ、その項目は忘れて次へ進んでしまいます。つまり気分転換がはかられるわけですが、できなかったことがそのままずっとできないままというわけではありません。別の演習を通じて別角度から補足されることが図られるのです。全ての演習が合格できなくても総力は間違いなく上達しているはずです。万が一、上達しなかったとしても、本人のできることでいないこと、欠点と長所は明らかになります。ここで明らかになった本人のできることをどう組み立てて受験に対応すべきかという作戦を立てるデータとなります。